ダッフルコート

先日知人が「娘にダッフルコートを買ってあげようかな」と言っているのを聞いて、思い出した。高校時代に買ってもらったダッフルコートのことを。
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高校1年生の秋のある日父親とケンカをした。何が原因だったのか、全く覚えていないのだけれど、今思えば、私がわがままを言ったのだろう。私の方が悪かったはずなのだが、仲直りのしるしということで、下北沢に一緒に行って、北口側にあるRegalのお店でチャコールグレーのダッフルコートを買ってもらったのだ。結構高かったと記憶しているのだけれど、娘に甘い父は気前よく買ってくれた。
その後、部活三昧の私は、先日会った高校時代の友人曰く「ごつかった」「丸かった」「パンパンだった」そうだ。運動部だったけれど、そこで使うエネルギー以上に食べていたのは間違いない。早弁は当たり前、昼練のあとに2度目のお昼ご飯、そして、部活の帰り道にジャンクフード、晩御飯のあともデザートは必須だったのだ笑。果たしてせっかく買ってもらったダッフルが翌年にはパツンパツンになってしまって、早々にして着られなくなった。余談だが、大学に入って運動をしなくなったら、すっと体重は落ちていった。
その頃から今にいたるまで何度も引越をしたけれど、幸いこのダッフルは途中でなくなることなく、必ずついてきてくれた。ただ、職場にスーツで行っていた時代は、ほとんど着られこともなく、タンスの肥やしとなっていたけれど。
ここ数年、だんだん生来の面倒くさがりが顔を出し、カジュアルな格好で職場に行くようになったため、再びダッフルを着るようになった。先日はトグルを止める革紐が切れてしまったりしたけれど、父が買ってくれてからもうン十年も経つダッフルは今なお健在である。最近流行っている丈の短い、スリムなダッフルとは対極にあるような、重くて長い、そして今となってはちょっと大きめのダッフル。私の人生の半分以上、共に過ごした思い出深いダッフルは、おそらくまだまだ活躍してくれることだろう。